今わたしの目の前にいる人は一応、付き合ってる彼氏。


だけどもう別れる。



自分に嘘ついて、彼にも嘘をついて。


そのままでこれからもずっと良好な関係が長く続くことなんてない。



誰にも見せない心の中に本音を隠している。


わたしにはずっと好きな人がいる。


なのに好きでもない人と付き合ってしまうわたしは自分でも嫌な奴だって、わかってる。





「あー、莉里(りり)! まだ学校にいたんだ」



目の前の彼とは違う声がわたしの名前を呼んだ。


名前呼ばれただけなのに。


それだけなのに、わたしはすごく反応してしまう。



ドキっと胸の鼓動が大きく跳ねる。


変に顔に出ないようにしなきゃ。



でも、素直な気持ちはーー……



どうしよう、という気まずさより放課後に会えたって嬉しさのほうが大きい。