「いや、特にないよ。ただ、2人になりたかっただけ」
にっこり笑う。
本当はあるけど、この場に二人でいるとそんなの話せるわけ無かった。嫌われるかもしれないのに。
「嘘つくな」
もう⋯⋯なんで、分かるかな。嘘はうまい方なのに。
「香織ちゃんのこと、好きなのに、なんかちょっともやもやするの⋯⋯」
言葉にするとなんて説明したらいいかわかんない。
「本当は言っちゃいけないことなんだろうけど⋯⋯香織ちゃん陸斗くんのこと好きなんだって。それを聞いて正直とられるって思ったの。
恋愛的な意味ではないよ?
陸斗くんは私の中で家族なの。その家族を取られそうで。
香織ちゃんは今まで幸せに暮らしてたのに。
そう考えれば考えるほど気持ちが暗くなって⋯⋯」
どんどん沼に落ちていきそう。
「私って本当に性格悪い」
拾ってもらった身分なのに。
陸斗くんから家族って思われてないかもしれないのに。
堂々と偉そうな事言って。
取られるなんて陸斗くんは物じゃないのに。

