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「部屋隣なんですね」
「ふふ。うん。そうなの」
今では本当に便利。会いたい時に簡単に会えるから。
「それにしても⋯⋯どうしたの?」
大体は分かるけど。
「笑わないでくださいね」
「う、うん」
「陸斗くんが好きみたいです⋯⋯」
やっぱり。
「あ。あの⋯⋯彼女さんとか、いるんですかね?」
「⋯⋯私は聞いたことないけど」
聞いている香織ちゃんの顔は乙女の顔で。
いつものクールビューティの香織ちゃんじゃないからなんか新鮮。
「すみません。急にこんなこと⋯⋯」
「え!全然大丈夫だよ!」
そうかなぁとは思ってたし。
でも、複雑だなぁ。
香織ちゃんには恨みとかないし、べつに悪いことをしたわけじゃないでしょ?たまたま皆川家に生まれちゃっただけだし。
でも、私はあんなに苦労したのに香織ちゃんは裕福に暮らしてたんだなって思うとやっぱりいい気分じゃなくて⋯⋯。
そんな子が陸斗くんを好き。
喜ぶべきところでもあるし、応援するべきところでもあるけどやっぱり⋯⋯って感じなんだよね。
もう、どれだけ私は性格が悪いんだろう⋯⋯。

