春になったら君に会いたい




「冬くんはよく美術館行ったりするの?」

「ああ、一時期美術館巡りにハマってた時もあったし」

「へー、意外!」

「似合わないだろ?」

「ふふっ、確かに」


俺たちは、俺が調べておいたオムライス屋で、昼飯を食いながら話をしていた。

食べているオムライスはとろふわな卵とチキンライスの相性が抜群で、とても美味しい。ネットでの口コミのとおりだ。





「さて、腹もいっぱいになったことだし、次行くか」


デザートのプリンまで堪能して店を出ると、俺とのぞみは次の目的地へ向かった。さっきと同じく、行先はのぞみにはまだ秘密だ。



店からバスで二十分ほど行くと、大きな公園に着いた。今日最後の目的地である。


「大きな公園だね。小さいころにお父さんと近所の公園行ったの思い出すなぁ」

のぞみは公園を見ると、懐かしそうに呟いた。きっといい思い出があるのだろう。

俺も昔はよく友達と公園で遊んでいたのでわかる。まあ、本当に小さいときの話だが。最近では公園に行く時は大体一人だ。


「公園とかもよく来るの?」

緑色の葉を揺らめかせる木々の下を歩きながら、のぞみは聞いた。間から漏れた陽の光が、彼女の美しい顔を一際輝かせている。


「まあな。公園に限らず色んなところに行ってるよ。ほとんど静かなところだけど」

「へぇ、いいねそういうの。楽しそう」

「そうか?」

「うん、とっても。いつか今まで行ったところの話してよ」

「わかった」

今まで正晴にもそういう話をしたことはなかったが、のぞみになら話したいと思った。


それにしても、楽しそうと言われたのが意外だ。

今は二人だけど、普段は一人だし、明るい場所じゃないし、楽しそうとはかけ離れていると思っていた。実際、楽しいかと聞かれたら、答えには迷ってしまう。それでも俺が行っているのは、美しいものを見るためだ。

美しいものを見ると、少し救われた気持ちになる。時によっては逆に辛くなることもあるが。

なにより、枯れかかっている心が揺さぶられるのだ。

そしてそれはのぞみといる時も同じである。