春になったら君に会いたい



「生きる」とはいったいなんだろうか。

たまにそう考える。暇な時間の多い入院中は特に。



俺は昔から、人とのつながりが希薄で、正直なところ人と関わることに恐怖を感じていた。


会うことも話すことも叶わない"冬"という季節。

たとえ起きている時に誰かと仲良くなっても、俺がいないその季節の間に、その誰かは俺ではない他の誰かと仲良くなっている。


何度も何度もそんなことを味わえば、俺のようになってしまっても仕方ないのかもしれない。


だって、誰とどれだけ仲良くなろうと、その関係はたった三ヶ月の間に、幻のように消えてなくなってしまうのだから。



唯一の例外は正晴。

小学五年生で出会って、今までずっと仲良くしている。
あいつだけは、何があってもいつでも隣にいてくれた。


俺が初めて体質のことを話した時、他の子は同情したり、距離をおいたりしてきたのに、正晴はそんな素振りは全く見せずに、穏やかに微笑んでいた。

俺に冬がないと知ってなお、俺と仲良くしたがった。そんな奴は初めてで、俺は不安と喜びとを半々に感じていた。

そして、一番の友達になり、今に至る。



だが、本当にそれは正晴だけの特例で、それ以外の人とはあまりいい関係を築けなかった。