車に戻るころには、結構時間がおしていた。花を選ぶのにこんなに時間がかかるとは誤算である。もうそろそろ病院に向かわなくてはいけない。
見慣れた景色を進む中、段々と気持ちが落ちてきた。もちろん元から明るい心持ちではなかったが、毎年のことだからとそこまで悲観していない自分がいた。だが、実際に病院が近くなるとさすがに気が重くなる。
これから3ヶ月もの間、俺は眠り続ける。クリスマスも年末年始もバレンタインもすべてすっ飛ばして、3月にやっと目覚めるのだ。
その間に何があろうと俺が起きることはない。
非情にも病院へはすぐに着いた。手続きも驚くほどスムーズで、自分の病室に案内されるまで待たされることはほぼなかった。病院側としても毎年恒例となっているからだろう。あとはいくつか検査をすれば入院にあたって必要なことは終わる。
検査までは少し時間が空くとのことだったので、この時間を使ってのぞみのところに行くことにした。



