「颯真!俺と組むだろ?」

「あぁ。神城(しんじょう)と一緒の方が気が楽でいい」

神城 晃(しんじょう あきら)。同じ生徒会役員のやつだ。


コイツと出会ったのは中1の頃で、俺が記憶をなくす少し前に、友達になったらしい。………………覚えてはいないが。

目覚めた病室のベッドの上で、俺の手を握っていたのがコイツだった。

親父は俺が目覚めたと連絡を受けたあと、会社から飛んで来てくれた。

辛うじて分かる自分の中の記憶は、自分個人の情報と、親父と母さんとの思い出の記憶。あとは、どこでどんな人生を送ってきたのか全く思い出せなかった。


だから、少し怖くもあり不安で毎日が仕方なかった。

親父は向こうでの俺のことをあまり知らないようで、徐々に思い出していけばいいと言われた。

問題は中学に入ってからの記憶だけど、それに関しては神城のおかげでどうにかはなった。

どんなやつで、どんなことをしてたのか。神城に聞くことができた。

だから、俺はそれが『本当の俺』だって決めつけた。

今の俺はこんな感じで、裏表あるけど思い出したらそれも無くなるだろうって。


それも含めて付き合ってくれてる神城だから、気が許せて付き合える友達だ。