「……………ん………っ………ここは?」


目を覚ますと真っ白な天井が目に入った。

身体を起こそうとすると、自分の布団の上に何かが乗ってることに気づき、そちらに目を向ける。


「なんで……………」


そこにいたのは、お見合いにいったはずの颯真。

ずっといたのだろうか?私の手を掴んでいて離さない。

「そういえば今日はいつ何だろう?」

部屋を見るが、日付が書かれてるのものは置いていない。

仕方ないから、聞きに行くか……………。


痛い!!!!


こりゃあ、歩けないな………………あ、車椅子発見!!



私は颯真の手をはがすと、繋がっている点滴を引きながら車椅子を乗って病室の外へと出た。


そういえば、広場にカレンダーって貼ってあった気がする…………………あった!!!

颯真がお見合いにいったのが土曜日だから………………………。


「あ、すいません。今日は何曜日ですか?」

「ん?今日は8日の金曜日だよ」

「ありがとうございます!」

つまり、1週間寝てたのか……………結構寝てたなぁ。


しかも、寝てる間に私の誕生日過ぎてるし……………。

あ~ぁ。今年は誕生日パーティーしてないなぁ。

ケーキも食べたかった………………。

「そろそろ病室に戻ろう」

ガッカリしながら病室に戻っていると、スゴい勢いで誰かが前から走ってきた。


ったく、病院は走ったら危ないのに………………。


「おい!!!!!!」


「あ」

「『あ』じゃねーし!!いつ起きたんだよ!!??」

前から走ってきてたのは颯真だった。

「さっきだよ。いつだろう?って思って確認しに行ってたの」


「起きたんならまず俺に知らせろよ!!!」

珍しい…………ひと目を気にせず起こるなんて。


「ごめん」

でも、心配かけちゃったのかな?

「本当…………心臓止まるかと思った…………」


颯真は私に抱きつき、ホッとした顔をした。


「私どうなっての?」

「意識不明の重体。峠は越えたけど昏睡状態が続いていたんだよ。ご飯食べれねぇから点滴でまわしたり、腕や足折れてるから気をつけろよ?ほら、俺が押してやる」


「ありがとう………」

私やばいな!!よく生きてたねって思うよ(笑)


…………………………それにしても気になるのは。


「颯真いつもと違うくない?」

「そうか?俺はいつもこんな感じだけど」

「っていうか、お見合いはどうなったの?」


「そんなの破棄した」

えぇ!!!??なにそれ……………。


「俺はお前以外の女に興味ねぇから」

「やっぱり、おかしいよ。検査してもらった方が…………」


「卒業の日の桜の木」

「……………………え?」


「言っただろ?向こうに言っても愛してるって」


まって……………颯真は知らないはずじゃ…………え?

まさか。


「だろ?美桜」

「颯真……………記憶…………」


「あぁ。お見合いに行った先が、まさかの美桜にあげたキーホルダーの遊園地でさ。そこで走馬灯のように思いだしたわけ」

そうな………………そうなことあるんだ。


「俺はもう離れねぇよ。逃げても捕まえる」

調子狂うなぁ…………………。


「…………………美桜!!!!」


「理沙!」


理沙もちょうどお見舞いに来たらしく、泣きそうな目で抱きついてきた。


「アンタ……………どうだけ心配させれば気がすむのよ…………アホ……………」


「ごめんっ………好き事故ったわけじゃないんだし」

「私がどんだけ心配したか………寂しかったか………。そうだ!ナースコール!!!あんた、目覚めたらまずはナースコールでしょ!!??」

「お、俺じゃねぇし!!!起きたらコイツ車椅子で勝手に出て行ってしまってよぉ………って、それ隣のベッドのトメさんの!!!」

「え?」

「ほら、返しに行くぞ。今頃トメさん困ってるから」

「ナースコールもね」


起きたそうそう大変だな、私…………………。