「どう、眠れそう?」

 部屋の電気を消してドアを閉めると、二人並んで歩いた。
 葉山さんの部屋は階段からすぐ。
 質問の答えを聞く前に到着した。

 ノブに手をかけたところで、
「ライン、交換しよ」ポケットからスマホを出して引き止めた。

 葉山さんは頷くと部屋から自分のスマホを取って、入り口で待つ俺の元に戻ってきた。
 お互いの登録はあっという間に終わった。

「おやすみなさい」

 葉山さんが言った。

「おやすみ」

 おやすみと言われたらもう、見送られて階段を上るしかなかった。
 親父なら中に入れてもらえるのか?

 フッ、とやるせない笑いが漏れた。