下に降りると約束通り和乃さんは屋敷中を案内してくれた。
 今朝教えてもらったバスルーム、兄弟の各部屋、専務の寝室と書斎、洗濯室、応接室、防音された音楽室、各階のトイレ、サービスルーム、裏庭に通じる勝手口。

 周り終えた時には昼をとうに過ぎてたから、食事を摂ることになった。

 和乃さんは、
「この家の家族になるのだから、弥生さんはダイニングで、」って私に言った。

「一人で食べても美味しくないし、二人の時は一緒に食べましょう」

 私からの誘いに困惑しつつも、仕方がないといった表情で承諾してくれた和乃さん。
 二人並んでキッチンの中にあるカウンターに腰かけた。