気づいたら部屋の入り口に葉山さんが立ってた。

「屋根が剥がれて、雨漏りしたんです。床は拭いたんですけど、流石に天井はどうにもならなくて」

 天井が乾ききってないところを見ると、一昨日の台風でやられたんだろう。
 衝撃的だし不安だったろうに、よく大家と笑って話ができるもんだ。
 本来なら訴訟もんだろ、これ。

「あの、」

「ん?」

「布団は持って行った方が良いですか?」

「あ、えっ?」

 そう言えば、俺の家のどの部屋を使うんだ?
 もちろんゲストルームはあるから、ベッドがあるし掛け布団の用意もある。

 それとも親父の部屋を共有する…のか…?
 親父のベッドはダブルだから可能ではある。

 そこまで考えて、頭を横に振った。
 それ以上の想像をしないように無理矢理思考を止めた。

「布団はいらない。客用のベッドがあるし、クローゼットもあるからタンスの類もいらない」

 葉山さんをゲストルームに住まわせることに、今俺の一存で決めた。
 後で和乃さんに電話で手配しよう。