部屋の中は外観からは想像できない程に、リフォームされて綺麗だった。

 振り返ると葉山さんは、腰をかがめて俺の靴の向きを直してる。

「持って行く物を詰めるので、座って待っててもらえますか?」

 そう言って、キッチンダイニングにあるイスを勧められた。
 玄関を入ってすぐがキッチンダイニング。
 脇にあるドアがトイレかも知れない。
 そのドアのシンメトリーに洗面所と風呂場が見えた。

 キッチンダイニングの向こう、正面に横に並んだ二部屋。
 葉山さんはその左の部屋に入った。

 座ってるように言われたのに俺は、何気なく右の部屋に足を踏み入れた。
 ベッドとサイドテーブル、あとは姿見。
 家具がそれだけのシンプルな寝室だった。

 ベッドの脇に立つと、腰の高さの窓を開けてみた。
 下を覗くと爺さんの件の庭、遠くには俺の家も見えた。
 自分の家をこの距離で眺めることになるとは思ってなかった。

 窓に背を向けて寄りかかると、手持ち無沙汰でもう一度部屋を眺めた。
 部屋は綺麗なのに、天井がシミだらけだった。
 ベコベコと波打ってる板さえある。