親父を送り出したのか、リビングに戻ってきた葉山さん。
 でも入り口から中に入ろうとはせず、キョドってる。
 聞きたいことは山程ある。
 とりあえずその年齢だ。

「ハァ?」

 24!
 何やってんだ、親父…
 案の定、准は彼女をお母さんだ、なんだと一いじりしてから出かけて行った。

 この後、家政婦が来るまでは二人きり。

 さぁ、どうする?
 准のように子供みたいにからかいはしない。
 大人ですから。

 でもやっぱりゴメン。
 バッグを渡すフリをして、渡さなかったりする。

 むーっと頬をふくらませて怒った顔が…可愛いじゃないの。
 促せば従順にソファに座ったのに、上目遣いで俺をじーっと見てくるし。

 さっきからずっと、どうして俺から目をそらさない?

 ヤバイから…

 ふと可笑しくなった。
 親父はコレに陥落したのかもね。

 頭突きのお返しは、これでおしまい。
 葉山さんの膝に指をかけると、伝線したストッキングを裂いた。