俺を全く知らなくて、親父を訪ねてきただけ。
 それなのに眩しいライトを当てて威嚇した。
 反省しかけたその時、親父の衝撃的な発言に耳を疑った。

 葉山 弥生さん、
 あんた親父の婚約者って、嘘だろ…?

 ご満悦の親父に肩を抱き寄せられてる彼女は、相変わらずよく表情を変えてる。

 ふぅ…

 ちょっと落ち着こう。
 深呼吸した。
 いや、これはため息かも知れない。

 親父は出勤、彼女はその見送り、准はキッチンで何かを漁りに行った。
 俺は、救急箱を取るためにキャビネットを開けた。