俺目当てなら面倒だと思ってた。
 今となってはその自意識過剰がこっ恥ずかしい。

 親父に会いに、わざわざ家を訪ねてきたとか?
 何かモヤッとしたものを胸に感じた。

 悶々としながらも俺は、家政婦が用意して帰った夕食を突っついた。
 親父は外で食べてきたって言うし、准も食べ終えた形跡があった。

「あとは任せてくれていい、彼女は大丈夫だから」

 どこからか持ってきた毛布をかけてやると、俺に言った親父。

 その『大丈夫』の意味が分からない。
 身体が大丈夫なのか?
 それとも家に上げても問題ない間柄だから大丈夫ってことなのか?

 色々と聞きたいことはあったけど、親父はもう自分の部屋に引っ込んだみたいだ。
 残ってる仕事を片してんのかも知れない。

 早々に食事を終わらせた。
 今日は休肝日。
 シャワーを浴びたら、まだやらなきゃならないこともある。

「また明日な」

 ソファの足元の靴を片手で取り上げた。
 最後にリビングの電気を消すと、俺も部屋へ引き上げた。