仕事が思ったよりも早く終わった。
 そんな時は皆も早く家路に着きたいのか、誰からも食事の誘いはなかった。
 自分も明日に備えて真っ直ぐ自宅へと車を走らせた。

「ちっ、」

 舌打ちも出るだろ。

 家の前に女が立ってた。
 背伸びして敷地を覗いてる。
 たまにいるんだ、自宅を嗅ぎつけて突撃するか、もしくは立ち尽くす迷惑な奴が。

 面倒でしかなかった。
 時には効果のあるライトのパッシングで、今回もあわよくばどっかに消えて欲しかった。

 野良猫じゃないんだから。

 そう思えども、SNSで勝手な拡散をしない野良猫の方がまだマシと思い直す。
 警察を呼べば近所がざわつくから厄介。
 これも幾度かの経験で学んだことだ。

 何度かパッシングした最後はハイビームで固定した。
 光に晒された女は、眩しさに手をかざした。
 次の瞬間、膝から崩れ落ちた。


「何でだよ!」