今日突然現れたのも、もしかすると結婚の報告とか?
 私を好きと言った手前、けじめをつけに来たのかも知れない。

 ううん、待って。
 圭さんに「好き」なんて言われてない。
 私に触れるのが好き、とは言われた気がする。

 必要ないのに。
 こんな私の許しなんて、必要ない。
 もう圭さんの好きなようにしたらいい。

 車は止まる気配を見せないから、私は助手席でシートベルトを外した。

「何してる!」

 圭さんは慌てて路肩に車を寄せると止めた。
 ハザードのカチカチ音だけが響く車内。
 
 欲しいんだったら、あげる。

「言ってなかった、」

 圭さん、あなたに

 終わりをあげる。


「さようなら」