コガレル ~恋する遺伝子~



 ガレージでエンジンをかけると、弥生に電話をかけた。

 繋がらない。
 ラインも繋がらない。
 スマホを替えたのか、番号を換えたのか…
 先に弥生を拒否しといて、今更繋がりが途絶えたことに胸を痛めるなんて、都合が良すぎる。

 ナビにメモの住所を読ませると、車を発進させた。
 名古屋までは車で片道5時間くらいか。

 はやる気持ちは眠気と疲れを吹き飛ばした。
 車を走らせて白岩家に到着したのは、真夜中を少し過ぎた時間。

 弥生がしばらくの間過ごした、戸建ての家の門の前。
 深夜で迷惑かも知れない。
 それでも迷わずにインターフォンを押した。

 応答したのは弥生じゃない女性の声、きっと伯母さんだろう。

「深夜にすみません、真田と申します。葉山さんはいらっしゃいますか?」

「少々お待ち下さい」

 玄関外の電気は元々点いてた。
 少ししてドアを開けて姿を見せたのは、弥生じゃなかった。
 目が合うと、門の外から頭を下げた。

「弥生の伯母です。どうぞ」

 門扉を開かれて、俺は敷地の中へいざなわれた。