時間になると正装して、監督と合流した。 長旅と意味の分からないヨーロッパの言語で、多少の疲労感を覚えていた。 そんな中で日本からの取材はもちろん、海外メディアからも複数の取材を受けた。 レッドカーペットを歩いて、劇場ではスタンディングオベーションを浴びせられた。 どれも初めての経験だった。 授賞式では最優秀賞は何れも取れなかった。 それでも異国の地でのあらゆる経験が、灰色に思えた生活に少しの刺激を与えたのは確かだった。