コガレル ~恋する遺伝子~



 キッチンに一歩足を踏み入れた場所に、弥生は立ってた。
 上も下も服を脱いで、下着姿…

 料理を作るこの場所の照明は、青白くて明るい。
 ピンク色の下着をまとう弥生の、光に晒されてる素肌は透き通るように白かった。

 言葉もなく近づくと身体を抱きしめた。
 それは煽られた欲望で抱きしめた訳じゃない。
 離れていたら、目に焼き付けてしまいそうだったから。
 身体を合わせて、前を向いてれば見えない。

「圭さん…」

 冷たい身体は、震えていた。
 髪は濡れたまま。

 …タオル渡すの忘れてた。
 コーヒー、思い出した、冷蔵庫の中だ。

 この状況下で馬鹿みたいに、あらぬ方向に意識を泳がせた。