コガレル ~恋する遺伝子~



「何でだよ!」

 俺のマンションなのに、後に続いて成実まで降りてきた。

「ストーカー、追い払ってあげる」
「ふざけんな」
 
 無情にも成実を押し付けて涌井は、車を発進させてしまった。

 …覚えてろ。

 あいつ、もしかして本当に弥生をナンパする気なのか?
 涌井ならやりかねない。
 Uターンしてきたら即、制裁だ。
 車が遠くに行くまで目が離せなかった。

 その隙を突かれた。
 成実が抱きついてきて、頬を寄せた。

「やめろ、」

 口ではそう言いつつも、成実の行動を拒否できない自分がいた。
 向こうの歩道は意識して見ないようにした。
 強引に絡められた腕のまま、オートロックを解除するしかなかった。