コガレル ~恋する遺伝子~



 団地のこの前降ろした場所に、和乃さんは立って待っててくれた。
 お疲れ様会から数週間、変わりはないようだ。
 当り障りのない近況を報告しあいながら、車はマンションに到着した。

 今日はここに初めて来てもらって、部屋を見せる手はずだった。
 俺が留守の場合も想定して、合鍵を一本預けた。
 オートロックの開け方も伝授した。
 和乃さんはコンシェルジュにも丁寧に挨拶したから、顔を覚えてもらったことだろう。

 部屋を一通り案内して最後に、簡単な契約書にサインしてもらった。
 ちなみに契約書は涌井が用意した。
 見た目に反して、とことん使える奴だ。