コガレル ~恋する遺伝子~



 フフ、って和乃さんは笑った。

「初めから知ってましたよ、旦那様から聞いてましたから」

「え?」

「兄弟の手前、知らない振りをしてましたけどね」

「そうなんですか、なんだか恥ずかしいです」

 知らなかった…

 この後、私も家政婦を辞めてあの屋敷を出て行くことを話した。
 和乃さんは驚きも、私を責める事もしなかった。

「私は、圭さんと弥生さんが結婚するものと思ってました」

 な、何を急に、和乃さん…

「…ありえません」

 そう答えながらも和乃さんがまだ辞める前、何かを見られてしまったのかもと内心は冷や汗をかいた。
 スキンシップ的なものを…