「ひとつ屋根の下、家族みたいなもんでしょ?
どうなの、かえって燃えるとか?
気持ち悪くて、俺なら、無理」

 無理と言った圭さんは、すがろうとした私の手を避けた。
 空中をさ迷った手は、自分の膝に落ちた。

 本当にもう私を受け入れる気がないことが分かった。 
 好きだから、悔しくて…涙がこぼれた。

「どうしたら……出て行かないでくれますか?」

「マンション、成実と住むから。
惑わせて、悪かった。
 
成実と寝た、何度も」


 結局、成実さんなんだ。
 涙が止められなかった。

 子供のようにしゃくり上げて、声をあげて泣いた。


 お母さん、ごめんなさい…

 圭さんが、好き。
 お母さんが亡くなった時よりも悲しいなんて…
 ひどい娘でごめんなさい…

 泣きじゃくる私に、それ以上の言葉はなく部屋を出て行った圭さん。

 次の日、宣言通りにこの家からも出て行った。