「…ませんか?」
キッチンに移動して弥生が食事を用意してる間に、動くのが面倒でシンクで手を洗ってた。
水の流れる音で、話が聞き取れなかった。
「何て?」
そこに下がってたタオルで手を拭いてから、テーブルに着いた。
俺が座ると弥生も目の前の席に腰掛けた。
弥生は自分の食事が済んでても、俺が食事をする時は必ず一緒に座る。
俺だけじゃなくて、親父や准の時もそうだ。
弥生に言わせれば、俺ら家族は食事のマナーが良いらしい。
食事姿が綺麗とも言われたけど、自分じゃ良く分からない。
もうずっとそれぞれが都合のいい時間に飯を食うだけで、団らん的なものはなかった。
食事はやっぱり誰かと一緒の方が美味いと思えるようになったのは、この人がいつもそこに座ってるからだ。
