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 一週間後。
 女史のテーブルに週刊誌を戻した。

 成実との写真が思う通りに今週号の記事になったのを確認した。

 俺があの日背中に乗せたのは、弥生じゃなくて成実にすり変わった。
 これで弥生がマスコミに嗅ぎ回られることは回避できたと思う。

 記事になる前から成実との交際の噂はすでに出廻ってた。
 昨日イベントに参加した成実が囲み取材を受けた、と女史は言った。

 ドラマの話題作り、そんな声もチラホラ聞こえた。
 今日の呼び出しも説教コースかと覚悟を決めてきたけど、パソコンに向かう女史の機嫌は悪くないようだった。


「色気が出てきた、ですって」

 一段落したのか俺に向き直ると言った。

「成実に?」

「あんたに」

 俺か。
 ドラマに濡れ場が多いせいだろう。
 好青年役なのになぜか脱ぐシーンが多い。
 ギャップ萌え、というやつかもしれない。


「例の話が来たけど、どうする?」

 例の? 何だっけ?

「例の雑誌のヌード」
「あぁ、」

 特集で男が際どいところまで脱ぐやつだ。
 その号は特によく売れるらしい。

 某事務所のタレント達がよく特集されて、ほぼ専売特許のようになってる。
 その話がうちに来たらどうする?って、前に冗談で話したのを思い出した。

「やらない」

「っそ。まあ、いいわ」

 俺が断ることを予想してたのか、女史はあっさりと引き下がった。