「ごめんなさい…」


 初めてのキスの後の第一声。
 何だよ、それ…

 親父という婚約者がいるから?

「圭さんが…」

 自惚れて勘違いした俺を責めるのか…



「…好き……です」


 …好き?
 耳に伝わった告白と潤んだ瞳が、俺を硬直させた。
 だけどそれはほんの一瞬だった。

 すぐに、唇を塞いだ。
 欲しくてたまらない言葉だった。
 それを紡いだ唇を深く奪った。

 柔らかい唇を離したくなかったのは、ただ単に俺が快楽を求め過ぎたせい。
 それに…次の言葉を聞くのが怖かったから。

 この唇から “でも” とか “だけど” って、続けられたら立ち直れない。
 胸を叩かれて仕方なく唇を離せば、さっき以上に潤む目がそこにあった。

 たぶんこれは呼吸困難の苦しみの涙…
 愛しさと照れくささから、鼻をつまんでやった。