リモコンをローテーブルに置くとその手で、向こうへ行こうとする葉山さんの手首をつかんだ。
 何が気に入らないのか、話を聞こう。
 もう一度腰掛けるように誘導する。

 顔をのぞき込んだら、怒っているのかと思ってたのに違ったみたいだ…

 目からこぼれた涙が、俺の心臓を啄いた。
 ドラマに泣けるシーンなんてなかった。

 なんで泣く?
 後からも溢れてきた涙を、俺の迷う指が拭った。

 勘違いしそうだ。

 確かめたい。



 唇にそっとキスした。