昨日、成実を送り届けた先のマンションにもカメラマンはいた。
 俺の家の中に入った成実を見て、一足先に手配してたんだろう。

 フラッシュが焚かれたのが分かったけど、好きにさせた。
 恐らく記事は遅かれ早かれ表に出て、成実と噂になる。

 あいつが自分から飛び込んで来て、望んだ記事だ。
 それを利用することにした。

 成実が昔っから俺を好いてくれてるのは、言動から分かってはいた。

 モデルの世界は殺伐としてる。
 女性モデルならそれが尚更。
 我が強くて、気も強くないと生き残れない。

 その逞しさと世渡り上手な彼女たちを同僚として見ることはあっても、付き合いたいと思えることはなかった。

 業界人は避けても、幸か不幸か女性に不自由はしなかったから。
 それに俺自身じゃなくて、俺のステータスに近寄る女には興醒めだった。
 たぶん成実だって、これだろう。