圭さんの手が、うつむく視界に現れたと思ったら私の手を取った。
 それからゆっくりと王子様がお姫様をエスコートするように、手の平に置かれた私の右手。
 手入れもしないで、ただ切り揃えられた爪が恥ずかしい。
 手を引こうとしたら、キュッと握られた。


「俺は美味しい飯作ってくれる、この手が好きだよ」

 そう言って私の手の甲にキスした。

 圭さんは…本当に王子様みたい。

「上から見下ろすおでこも可愛いし、」

 そう言って、額にキス。

「美味しそうに何でも食べるこの口も好き」

 今度は唇同士が触れた。
 触れた肌に鳥肌が立った。
 心臓がトクントクンと大きく音を立てるから、止めたくなった。


「次はどこにする?
ぷよぷよの二の腕とか?」

 唇が完全に離れてないのに、喋る圭さん。

「ひど、」

 ひどい、と胸を叩こうとした手をつかまえられて、言葉はキスに奪われた。