先に一階に降りた圭さんは、ソファに座ってた。
「圭さん、あの、准君が、」
「座って」
圭さんが自分の隣をポンポンと叩いた。
黙って腰を下ろすと、腕を組んで斜めに見下ろされた。
「准の部屋で何してた?」
「ごめんなさい。やっぱり続きが気になって、ドラマを…あの、准君が…」
そこで大きなため息をつかれた。
「見たらさ、気にするでしょ?」
そんなの分かってる。
見るなって言うのは圭さんの優しさだって。
「気に…しますよ。
成実さんと違ってスラッともしてないし、爪だってネイルもしてないし、仕事もなくて、家もなくて、敵うところが一つもないって思い知らされます」
圭さんは黙って聞いてる。
なんて幼稚で面倒な女って思われてるかも知れない。
「それでも、見たくなくても見ちゃうんです。ドラマも、今週号の週刊誌だって見ちゃいました。
圭さんが気になるから…見て…それで後悔します…」
最後には自分の言葉にさえ後悔し始めた。
圭さんの “見るな” っていうのは、きっと正しい。
禁止されたものを見て、勝手に悲しくなって…
