進む物語の中で圭さんが、ネクタイを緩めて襟から引き抜いた。
 手首のボタンを外して脱いだYシャツ。

 恥ずかしくてまともに見られない。
 手で目を覆うのにお約束の通り、指の隙間から見てしまう。

 しなやかな腕は、成実さんを引き寄せた。
 床に落ちた下着、素肌をなぞる指、キスして…
 ベッドの真っ白いシーツの上に、倒した。

 きっと成実さんは、実際全部を脱いでないのかも知れない。
 それでも妖艶な展開が、私の中で圭さんと耕介を交錯させた。
 昨日、腕を組んでこの屋敷を出て行った二人。
 今はテレビ画面の中で抱き合ってる。
 目を覆う手が、力なく膝の上に落ちた。

 現実とドラマが入り交じって…


 馬鹿みたい、涙がこぼれた。