「で、それ誰なの?」
「家族」
高校生の頃からモデルを始めた俺はまだガキで、当時女史からよく説教を食らった。
それは「態度が悪い」とか「挨拶しろ」って基本的なことからだった。
仕事に対する認識の甘さで、この“基本的なこと”ができてなかった。
CMが初めて決まった時には、スポンサーに配慮することを教わった。
俺の迂闊な言動が、商品のイメージダウンに繋がるって。
いつだって女史の言うことは正しい。
「あんた、姉も妹もいないでしょ」
「母親」
「あぁ、そうか、お母様ね。それなら安心。
って、世間が納得する訳ないでしょ!」
俺も納得いかないけど、近い未来の事実だし。
「何を聞かれても、ノーコメントで、いいわね」
「はいはい」
そんなぞんざいな態度を続ける俺に、女史はキレた…
