結局収録は押して、終わったのは日が暮れてから。
局の駐車場から車を出すと、事務所に向かった。
成実は早くに出番の収録が終わったから、涌井と先に帰って行った。
涌井は
「事務所に必ず寄れよ、俺は伝えたからな」偉そうに言い残してった。
十数分運転して、事務所前の路上パーキングに停めた。
事務所は四階建ての自社ビルで、一階は受付のみ。
女史のデスクは二階にある。
いつものように受付を顔パスで通過して、エレベーターへ。
二階で降りると事務方はおおかた退社したようで、フロアには人影がちらほら見えるのみだった。
もちろん女史はまだ残ってて、PCにへばりついてた。
女史のデスク横には簡単な応接テーブルとイスのセットが置いてある。
俺がそこに腰掛けるのをチラッと見届けただけで彼女は、PCの作業を一段落するまで続けるつもりらしい。
だからスマホでもいじってやろうかと思ったのに、テーブルに同じ週刊誌が数冊重ねてあるのが目についた。
ふと手にした一冊の表紙を見て、焦った。
縦横に散らばるゲスい見出しの中に、デカデカとした俺の名前。
