顔を覆うキャップに違和感を覚えたのか、葉山さんはそれをつかもうとした。
 ただ、つかもうとする手には花束が握られてるから、つかめない。
 すぐ横の俺の視界は花束でいっぱいになる。

「ダメだ、帽子脱ぐな。花、邪魔!」

 身体を揺らして抗議すると、手を降ろした。
 少しするとキャップをつかもうとして…

 ってのを三回繰り返したら車にたどり着いた。
 車の中では爆睡して、家のリビングに運び込まれた頃には少し覚醒してた。

 一方的な話が出来るだけで、へべれけの酔っ払いであることには変わりないけど。