二人が並んだところを想像してみた。
 すごくお似合いだ。
 文句のつけようのない美男美女。
 この二人の間に割って入ろうなんて、タフなハートの持ち主はいないと思う。

 静かに週刊誌を閉じてローテーブルに置いた。

「記事は誤解です。デートでもなんでもありません。
酔っ払って、調子に乗って…圭さんに絡んでしまいました。
本当にすみませんでした」

 私は手を揃えると、膝に付くくらい深く頭を下げた。

「ここに住んでるの?」

 顔を上げて成実さんを見ると、許してくれた表情ではなかった。

「私、圭さんのお父様と婚約してるんです」

「へぇ、圭のお父さんってどんな人?」

 興味を引かれたのか成実さんは、ほんの少し態度を軟化させたように見えた。
 婚約者設定がこんな形で役に立つとは思わなかった。