コガレル ~恋する遺伝子~




「圭さん、芸能人だったんですね」

 成実さんは、目を丸くした。

「嘘でしょ、知らなかったの?」

 私は頷くと、開かれたページを見た。

 撮られた写真に写ってるのは、間違いなく圭さん。
 後ろにおぶってるのは、キャップで顔は見えないけど…私で間違いない。

 圭さんの首に回した腕。
 その両手には、私のバッグと花束が握られてた。

 これは送別会の日。
 ただキャップは私のじゃない、見覚えがある圭さんの物。
 たぶん顔を隠してくれたんだろう。

 記事を読んでみる。

 “深夜、駅前コインパーキングまでキャップを目深に被った泥酔彼女を密着おんぶ。
 その後二人で車に乗り込んで、行き着いた先は真田邸。ゲート内へとしっぽり消えて行った”

「圭を知らないなら、もちろん私のことも知らないでしょ?」

「知ってます、モデルさんですよね?」

 成実さんは、呆れた表情で首を横に振った。

「元モデル。卒業して今は女優」