「遥奈は……優しくて。
だから寂しくても独りぼっちで我慢して。
強い……けど、本当は泣き虫の寂しがり屋。
オレは甘えてた」
「……ち、がうよ……」
「全部、全部オレが駄目なせい。
オレも1人になって初めて気付いた。
遥奈が……いてくれなきゃ……やっぱりダメなんだって……」
─────────…春風が優しく2人の間をすり抜けていく。
別れたあの秋の風とは全く違う、再会を喜ぶような暖かく柔らかい風。
「あの日本当はすぐにでも追い掛けたかった。
でも……あの日のままのオレじゃ……遥奈にまた同じ思いをさせる、だから……」
「……琉惟……くん、」
「……だから、もう一度だけオレにチャンスをくれませんか」
桜の花弁が琉惟くんの傍に舞い落ちる。
手を伸ばせば琉惟くんは消えてしまいそうな、そんな儚さを感じさせて。
でも瞳はしっかり私を見据えている。
「……琉惟くん、自分ばっかり責めすぎだよ……」
「……えっ」
「あたしが……子供だったから……ダメだったの。
寂しいのに、我慢も出来ないのに勝手に我慢して……」
あぁ、手が伸ばせるならあなたに触れたい。
結局、今も大人になんてなれないまま。
ただ、あなたが好きで……触れたい。
例えば同じ過ちをまた繰り返してしまったとしても……。
「……それは遥奈が子供だからダメだったんじゃないよ。
遥奈は本当に頑張ってくれた……」
もう、ダメだ……。
ぷつん、と自分を縛っていたはずの糸は切れて私は琉惟くんへ駆け寄って抱き着いた。
幸せだ。
それ以外の言葉が見つからない。
いや、もっと複雑なものかも知れない。
言葉にするのさえ惜しい。
琉惟くんの肩越しから見える春の空は、眩しくて、でも目を閉じてしまえば涙が零れそうになるから。
その青さを焼き付けるように上を向く。
「……遥奈、」
琉惟くんも応えるかのようにぎゅっとしてくれる。
あなたに会いたくて、寂しくて。
「……好き」
私達は傷付いて、過ちに気付いてまた繰り返しては抱き合う。
そんな、どうしようもない繰り返しも……
琉惟くんとなら……きっと。
「あたしも……だよっ……」
やっぱりあなたじゃないとダメみたい。
ダメなのはきっとお互い様…────────
【END】



