…キーンコーン カーンコーン…
完全下校時刻のベルが鳴る。
その音に、はっとした斎藤くんは、
一瞬私と目が合った途端、
全力で図書室のドアから出て行ってしまった。
当然、野球部の彼は足が速い。
開けっ放しにされたドアを見て、呆然とする。
あれ。返事無し……?
愕然としながら、仕方なく私も下校した。
*
あの一件以来、斎藤くんとの文通は本当に途絶えた。
それだけではない。
私は斎藤くんに完全に避けられている。
"怖い"と思っていた相手が、実はずっと文通相手で、しかも突然告白までして来たのだから、動揺しても仕方ない。
ただ、避けられるとやっぱり傷つく。
今だって、不意に教室で目が合うと、彼はすぐ不自然に目を逸らす。
こんな事になるなら、告白なんてしなければよかった。

