…キーンコーン カーンコーン…

完全下校時刻のベルが鳴る。

その音に、はっとした斎藤くんは、
一瞬私と目が合った途端、
全力で図書室のドアから出て行ってしまった。
当然、野球部の彼は足が速い。

開けっ放しにされたドアを見て、呆然とする。

あれ。返事無し……?

愕然としながら、仕方なく私も下校した。




あの一件以来、斎藤くんとの文通は本当に途絶えた。
それだけではない。
私は斎藤くんに完全に避けられている。

"怖い"と思っていた相手が、実はずっと文通相手で、しかも突然告白までして来たのだから、動揺しても仕方ない。

ただ、避けられるとやっぱり傷つく。

今だって、不意に教室で目が合うと、彼はすぐ不自然に目を逸らす。

こんな事になるなら、告白なんてしなければよかった。