マズい。バレる……!
咄嗟に後ろ手で、例の本を隠す。

「「…………。」」

2人の間に、沈黙が流れる。

先に口を開いたのは、斎藤くんだった。

「日下部さんが、"読書オバケ"…?」

困った、いきなり核心を突かれた。
質問がど直球すぎて、返答に詰まる。

「……はい。」

これ以上は隠しても無駄だと思い、消え入りそうな声で正直にそう答える。

「……そう、なんだ。
でも、何でこんなこと?」

さらに迫る問いに、動揺が増す。

どうしよう。
どうすれば、斎藤くんに伝わる。
後ろ手で本を隠す力がぎゅっと強まる。

黙ったまま俯く私に、

「もしかして、暇つぶしとかだった?
いちいち真面目に返事してごめん。」

と斎藤くんが申し訳無さげに頭を下げた。