誰だろう、こんな下校前に……?
本棚横からひょいと顔を出して、訪問者を確認する。


そこに立っていたのは、

野球部の練習着を着た 斎藤くんだった。


「……さ、い、とうくん?」

突然のことに、思うように声が出ない。

一体どうしたんだろう。
初めて間近で見るユニフォーム姿に、私の心臓は破裂しそうだ。

「ちょっと…確認したいものがあって。」

彼は、焦るようにこちらへ歩いてきた。
すぐに縮まる距離に圧倒され、その場から動けない。

私の前まで来た斎藤くんは、大きく目を見開いて、

「…………え?」

と、呟く。

彼の視線は、私が手に持っているあのエッセイに留まっていた。