「ねぇー颯太!
今日カラオケ行かない?」
「え!私も行きたい!!」
だって森くんはモテるから。
程よい色合いの茶髪の無造作ヘア。
顔のパーツ一つ一つが整っており、きれいに配置されている。
爽やか系のイケメン。
でも、森くんがモテるのはそれだけが理由じゃない。
「え?カラオケ!?
もちろん行く!僕、君たちとカラオケ行ってみたいって思ってたんだよね〜」
このチャラさだ。
森くんの言動一つで私の心は揺らぐ。
それでも、まだ私が安心できるのは、メガネをかけているから。
時々ふと思う。
もし森くんが本が好きじゃなかったら。
私があの時、読んでいた本が違っていたら。
きっと森くんは私のことなんて知らなかっただろうし、関わることもなかった。
だから、この関係を壊したいとも思わないし、この関係が酷く安心する。