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「おはよぉ〜芽衣〜」
私が本を読んでいると、森くんがふぁーっとあくびをしながら挨拶をしてきた。
「ん?あれ?これ…?」
寝起きなのか、少し舌足らずの話し方。
そんな小さなことさえもキュンとしてしまう馬鹿な私。
本当はもう諦めなきゃいけないのに…。
メガネをかけている姿を見ると強くそう思ってしまう。
「僕の好きな作家さんの新作!?」
「そうなの!
昨日本屋さん行ったらたまたま、あって!!!」
「読み終わったら貸してほしい!」
「もちろん!」
お互い興奮して声も大きくなり、話すスピードも少し早くなる。
もともとこの作家さんには興味がなかった。
でも、森くんと話すために。
私なりの恋への小さな一歩だ。


