「あ〜、メガネってさ、壁になると思わない?」


「壁?」


「そう、壁。
人付き合いうまくできない人とか信用ができない人の前だと無意識にメガネかけてしまうんだよね〜」


少し上を向きながら何かを思い浮かべているように言った。



「自己防衛的な?」


「あ〜多分そんなんだと思う!」


「え、あ、でも、佐田の前でもメガネかけてるよな?」



私は森くんと一番仲がいいと過信していた。


そして、恋心を抱いていた。



そんな森くんが私の前でメガネをかけるということは、人付き合いがしにくい人間ということだ。



「芽衣はね、ちょっと…」



これ以上話を聞きたくなくて、忘れ物も持たずに走って帰った。