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「おはよう」
「今日も会えてうれしいよ」
「なんだか疲れてるね?」

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朝。
今日もまた夢であの人に会った。
あの人が夢に出てくるようになったのは
去年の秋ごろからだ。
初めのころは受験で頭がおかしくなったのだと
思っていた。
春になれば大学生だ。
きっともう現れることはないと。

夢の中のあの人は瑛人という。
瑛人はいつも笑顔で私の話を聞いてくれた。
つらいときも励ましてくれた。
受験勉強で行き詰ったら瑛人に話す。
それが私の心の支えだった。

瑛人のことはなにもわからない。
いつも聞き出そうとすると
目が覚める。
もう一度寝てもその日は現れない。
心の支えだから私は夢から覚めたくなくて
いつしか瑛人について探るのをやめた。

私は瑛人のおかげで
有名な大学に合格することができた。
これでもう瑛人に会うことはない。
入学式の前日、私は瑛人に感謝の気持ちを伝えた。


なのに、、、、、、
5月。いまだに瑛人は現れる。
受験のせいで夢に出てくると思っていてのに
なんで?まだ心の支えがいるってこと?
最近はそればかり考えて講義どころじゃない。