汚れがひとつも付いていない純白な無地のワンピースに身を包んだ少女。

 ガントリークレーンに吊るされた宙のコンテナを見上げ、こう呟いた。


 「私のお人形さんは、どの玩具箱に入っているのかしら」


 彼女の小さな頭には不釣り合いな工事用のヘルメットを被る少女の呟き。


 まるで、少女の背後に居るメイド服姿の使用人の女性に尋ねる様な物腰であった。


 使用人らしき女性は、少女にこう答える。


 「私はリスト以外の積み荷の内容を存じ上げておりません。

 ですが只今、積み降ろし作業中のコンテナで最後ですわ」

 
 風にそよがれ長い黒髪を靡かせる使用人は背筋を真っ直ぐに伸ばし、死んだ魚の眼で少女の小さな背中を撫で回す様に眺めていた。