ノラと呼ばれた男【弐】

つい先程まで俺の背後にいた白衣の男

居ると思って振り返ったのだが、そこに白衣を着た男の姿はなかった







「え?誰かと一緒だったの?」


俺達が来たときには居なかった、と口にする伊月。つまり電話に気を取られている間に消えたのだ

は。まじかよ、普通歩けば足音くらいすんだろ。気配消して足音消すとか何、まさかの忍者か




と、内心、一人漫才をしていた俺に、


「あ、待って


ここの生徒なら、特徴教えてくれれば見付けられるよ」



「え………………、すげぇな羽音さん」






ポケットから取り出した携帯を、弄り出す羽音。操作する指の手が早すぎて怖い、とか言えねぇ

(まさか“あれ”の中に情報全部入ってんのか?)






「覚えてる事ある?黒子の位置、利き手、身長、体形、髪色、

あ、因みに性別は?」



「あ、……嗚呼、男、で」




「他には?」







と、聞かれ思い出すのは、たったの二つ




「白衣来てたな、すんげぇ長いやつ」



「て事は、コスプレ系をメインにしてるクラスに絞られるけど…………白衣って意外と人気あるから、特定には繋がらないかなぁ、




他にはないの?」




「嗚呼、後、すっげぇ綺麗な目してた」










そんな俺の一言に、いち早く反応したのは時雨で、

「瞳が青色だった、とかか?」

訝しげに顔をしかめる。

うちの学校に、ハーフなんていたっけ?と言いたげな顔に、俺は首を振る



この学校にハーフが居るかは知らないが、俺が見たのは……………………、

「じゃなくて、……黄金色だった」






ぽつり、と呟いた一言。

瞬間、派手な音を立てて羽音の手から携帯が滑り落ちた。