ノラと呼ばれた男【弐】

前から来る男に回し蹴りを食らわせ。
その勢いのまま身体を捻り、背後からバッドを降り下ろそうとした男の顔面に拳を入れた。

その際、鼻骨辺りから「バキッ」と派手な音が聞こえたが気のせいだ。大丈夫大丈夫、鼻の骨が折れたって生きていける





って、言う分には良いけど実際痛い

現に今だって綺麗に俺の拳を顔面で受け止めた男は、声にはならない声を上げていた


「ほら、遠慮すんなって全員でかかって来いよ」





お前らの本気はまだだろ?

と、あまりにも見え透いた挑発を口にした。流石にこんな安い挑発買わないか、

なんて思ったものの、




「てっっめぇ調子乗ってんじゃねぇぇぇ」


その“安い”挑発にまんまと乗っちゃたらしい、男共。
顔は怒りからか、赤く、息すらも荒い

いいね、そーいうの



薄々気付いてんだろ?俺の正体に












それでも向かってくるその闘争心だけは嫌いじゃねぇよ



お陰で俺も、気持ち良いぐらいにケンカが殺れる。は。手加減?

どうせバカに塗る薬はないんだ、この際、痛い目にあった方が………………








「まともに成長しやがれよっ、と」


複数に囲まれる中、蹴りや拳を交わし、いなしながら近場にいた男の胸ぐらを勢い任せに掴み、そのまま投げ飛ばす。

廊下で言えば、ちょうど窓側とは反対の……




曲がり角がある方角

狙いを定めて一人の男を投げ飛ばすが、






狙いが外れた。と言うよりは避けられた


敵か。味方か、なんて無駄な判断で時間を裂くのが嫌な俺は、

つい先程から“此処”に向かって走って来ていた人物が、この角を曲がるタイミングでこれ(男)を投げ飛ばしたのだが、






すれすれの所で避けられた


「チッ、外したか」



「なっ、何すんだお前!?」




的を外し、少しばかりテンションが下がった俺は舌打ちをして相手を見やる

ケンカの邪魔、してんなよ

気分萎えるだろうが、







と、言い掛けて止めたのは………………