【ノラside】

耳をつんざく程の悲鳴と、窓ガラスが割れる音、そして男らの下卑た笑い声が廊下を支配した。

その場にいた生徒らは男たちから逃げるように、上の階へと逃げていく

逃げない奴も中にはいるが、大抵は全くもってケンカに免疫がない者で、逃げるどころか足がすくみ動けてすらいない生徒数名だけである




そんな中、軽快すぎる足取りで、その現場に目指す一人の男


少しばかり、この状況を楽しんでるかの様に口角だけを上げ、

歩くたび、動作で靡く長い白衣




どこからどう見ても『医者』ではなく、ただのコスプレした痛い男である。


「あ~ぁ、派手に散らかしやがって」



首の骨を鳴らし、指の骨を鳴らしながら不敵に笑む男は、騒ぎの中心である男たちの前へと立った

瞬間、白衣姿の男に全員らが視線を注ぐ





「あ゛?んだおまっ、……医者?」



「ぶっは、おまっ、コスプレかよ受けるんだけど~」


一瞬、白衣姿に呆けるものの、一斉にして吹き出した

ふざけてんの、お前。なんて雑音がする






嗚呼、うぜぇなぁ


と、己の口が勝手に本心を吐き出していたらしい

「んだとお前、うぜぇのはお前だろーがっ」



「は。コイツ一人で出てきて正義のつもりかよ、なぁ!?」