【壽　龍生side】


――――――――――――――――――

―――――――――――――――――

――――――――――――――――…





暗く、血生臭い部屋には数名のシルエット。軋むベッドには寝ているのか、気を失っているのか一人の女性が横たわる

そんな女の横で、タバコを吸う一人の男




派手に染められた金髪、左右横の髪を刈り上げ皮膚には刺青が入れられている

耳には数えきれない程のピアス

カーテンの隙間から入る日差しが、妖しくピアスを光らせた







「さて、と今頃始まっている頃か」


思い浮かぶのは、穏やかな顔をして笑む伊月の顔。そしてその横に佇む佑月の無愛想な顔だった

なぁツキちゃん、守れないんだよ

アンタの生ぬるいやり方じゃ、誰も従わない。結果、守れねぇ





大事なら奪ってしまえ。

大事なら逆らわない様に捩じ伏せて、力を示せばいい。見えない鎖で繋げばいい












たかが一般人に舐められるような族は、暴走族とは言わねぇ



「リュウ、珍しく留守番ー？」


「ははっ、ビビっちゃったの～？」

そんな戯れ言に、リュウと呼ばれた一人の男は口角だけを上げて嘲笑う。

冷めた、何も映さない目はまるで深海の様




そんな表情に、側にいた男らは息を飲む


「俺さぁ、綺麗事いう伊月も嫌いだし覇王も嫌いなんだよねぇ」



「りゅ、……リュウ」



「だからさ名案だろ？両方傷つけられる方法だと……思わねぇか？」